君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

人生で一番甘えられる時期

10ヶ月になったふみちゃん。

その日、常夜灯を点けた寝室で寝る前の授乳をしていると、飲みながら寝落ちしてしまったのでそっと布団におろした。けれど置き方が悪かったのか、ぱちっと目を開けてしまった。
そしてわたしを見て、寝ぼけた顔でむくっと体を起こし、そのままはいはいしてわたしに抱きついてきた。
わたしはあぐらをかき、ふみちゃんを抱きあげて膝に座らせ、体を密着させて頭と背中を両手で抱く。
ふみちゃんはふんわりとミルクの匂いをさせている。

少しだけお腹に力を入れて上半身を後ろに倒し、ふみちゃんがもたれて眠りやすいようにする。
ものの1,2分でまたすーすーと寝息をたて始めた。

しっかり寝たのを確認して再び布団に降ろす。
ふみちゃんは寝心地のよい姿勢を探して一瞬もぞもぞしたが、すぐにまた穏やかな寝息を立てて眠ってしまった。


こんなふうに何も考えずに誰かに甘えてもらうのって、ふみちゃんが生まれるまで経験したことがなかった。そしてふみちゃんは最近とみに活発になってきて、自分から抱きついてきたり、抱っこをねだって両手を伸ばしたり…とかわいい意思表示ができるようになってきている。

なんて贅沢な時間なのだろうと思う。

わたしの人生の中で今が一番、誰かから甘えてもらえる時期なのかもしれないな、などと考えて幸福を噛みしめている。

逆に言うと、ふみちゃんにとっても、人生の中で今が一番、何も考えずに誰かに甘えられる時期なんだろう。
気兼ねしたり恥ずかしがったりすることなく、ただ欲求のままにわたしに手を伸ばせる、短い時間。

そう思うと、今のうちにたくさん甘えてほしいと思う。
お母ちゃんが全部こたえてあげるから。