君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

結婚して2年、産後2ヶ月での夫への恋心の備忘録

出会って4年、結婚して2年、第一子を産んで2ヶ月がたった。
子どもが生まれる前と後で大木くんへの気持ち、関係性が大きく変わったように感じ、それが自分にとって興味深いので、現時点での感覚を書き留めておく。

ちなみに、出産直前に書き留めたものはこちら。
kinoshita.hatenablog.com


コロナのせいで立ち会い出産も入院中の面会も不可だったため、大木くんとわたしは、陣痛中に病院まで送ってもらったあとは退院まで会うことができなかった。5日後、それまでただの夫婦だったのが、いきなり子どもを抱え、父と母になって再会した。
ふみちゃんが生まれるまではどこか恋人同士の延長のような、少し甘い関係性だったが、その日から、わたしたちは同じ一大プロジェクトに取り組むチームメイト、あるいは戦友になった。

そうやって昼も夜もない慌ただしい日々が始まり、2、3日でうすうす気づいた。

恋心が消えている…。

愛だの恋だの言っている場合ではなくなったせいかもしれない。とにかく大木くんに触りたいとか抱きしめられたいという欲求が皆無になっていることに気が付いた。まあこの時点ではまだわたしの体が快復しておらず、貧血と微熱でだるかったせいもあったのかもしれない。しかしふみちゃん中心に変わり果てたこの部屋で、大木くんにキスできる気もせず、しかしそんなことを本人に言うこともできないので黙っていた。
別に嫌いになったわけではない。初めての育児で、一緒になって取り組んでくれて家事も全部やってくれて、こんなに心強い相棒はいない。しかし、恋愛感情は消滅したのだ。
大木くんの方でも、わたしに気を使ってなのか、それともやはり彼もふみちゃんにメロメロになってしまったためわたしへの興味を失ったのか、向こうから触れようとしてくることもなかった。
出産前まで、わたしはしょっちゅう大木くんに抱きつき、大木くんからもわたしにすり寄ってくることもあった。あんなにラブラブな夫婦だったのに、こうもあっけなく関係性は変わるのだな、と我がことながら驚いていた。

このままただの友達みたいになるのかしら。今はいいけど、それが定着して二度と触れ合わなくなったりしたら……それは嫌だなぁ。

そう思い、退院の数日後、決心して大木くんに抱きついてみた。大木くんもよしよしとなでてくれた。
ときめきはないが、安堵感はある。

よかった、お互い、相手を触るのも嫌なわけじゃないんだな。
育児が落ち着けばたぶん元に戻れるだろう。そう思った。


それ以来、わたしはときどき大木くんに抱きつくようにしてみた。
正直に言うと、今の生活ではふみちゃんに触りまくって癒されまくっているため、わざわざ大木くんに触りに行く必要性は(わたし的に)ないのだが、関係性を維持することが大切だと考え、実行するようにした。ごくたまにキスもする。
最近はふみちゃんが夜7時には寝てくれて夫婦の時間が作れるので、前のようにゆっくりお茶を飲みながらしゃべったりテレビを見たりする時間も取れている。わたしたちは仲がいいと思う。
そのうち、また前のように、大木くんに抱きつくことが当たり前でなんでもないことに変わった。そして最近は大木くんの方からもたまーに、わたしに頭を預けるようなことがでてきた。

よかった。
長い人生のこの先を考え、わたしは安堵する。
大木くんとは、いつかまた以前のように手をつないでデートしたりしたい。
ふみちゃんが小学生や中学生になったら、そうやたらめったら触れないし、その時に大木くんとは抱きしめあったりできる関係性でいたい。
老後は二人で家庭菜園をやったりときどき旅行に行ったりという、小さくて幸せな生活がしたい。いつまでもラブラブなおしどり夫婦になりたい。
そのためには、いま夫婦仲を悪くするわけにはいかないのだ。


ただ、ここまで回復してきても、まったくもって戻る気配がないものがひとつ。
性欲である。
無風。凪。まったくもって一滴も湧いてこない。完全に枯渇した。
わたしの体は今ふみちゃんのお世話をするためだけにあってそれ以外のことに使うことを本能的に拒絶しているような感覚だ。
ネットで調べてみたら、「卒乳・断乳したら戻ってきた」という人が結構いるようだった。赤ちゃんを抱えた状態でさらに赤ちゃんを産むことがないようにという本能だろうか。しかし、ということは、おそらく最低でもあと半年は戻らない。
今はわたしの悪露がまだ収まらないこともあって夫婦生活がないままだが、このままさらに半年間なかったら……。
大木くんは、不倫については面倒だからという理由でしなさそうであるが、しかしわたしに遠慮したままでは、わたしのことを異性として見られなくなる日が来るんじゃないだろうか。このまま永遠にレスになるんじゃないだろうか。

心配になって、正直に話してみた。すると彼はちょっと笑って
「気長に待つよ」
と言った。
諦めなのか、優しさなのか、わたしには判別がつかなかった。
でもまあ、いつかまた元に戻りたいと思っているんだよということが伝えられたのは、よかったかな。