先日、うちのくうちゃんと同学年、生後10ヶ月の赤ちゃんのいるママとその家族とご飯を食べていて、育休からの復帰の話になった。
前提として、通常、育児休業給付金は子どもが1歳になるまでしかでないので、地方だと子が1歳になるタイミングで仕事復帰する人が多いらしい。都市部だと年度途中の入所が難しいので、1歳児クラスの4月から保育園に入れて仕事復帰する人が多い。保育園に申し込んだのに落ちた場合は最大2歳まで給付金が出る。給付金は雇用保険から出るので勤め先の会社が払っているわけではないし、雇用保険に入っていなかった人(扶養内でパートしてた人など)はもらえない。
ちなみにわたしはくうちゃんが0歳7か月になるころに保育園に入れた。家にずっといるというのが性に合わなさすぎるためだ(いやむしろ性に合いすぎるのか? とことん引きこもり怠惰に暮らしてしまうため)。
さて冒頭のママの話。
Hちゃんそろそろ1歳だよね、保育園に申し込んだの?
と聞くと、そろそろかな、と彼女。
じゃあ仕事復帰するんだ、とこちらが言うと、う~ん、どうかな、と歯切れの悪い返事。
あ、これはよく聞くアレだ、とピンときて、
「保育園に落ちて育休延長できるようにあえて落選確実な園に希望出した感じだね」
というと、ばれたか、と言いたげなバツの悪そうな顔をした。責めているわけではないので
「そういう人多いよ。というか1年以上育休取る人みんなそうじゃない?」
と付け加えると、横にいた旦那さんが、「みんな考えることは同じやな」とにやっと笑った。
では来年の4月から保育園に入るのか、と聞いたけれどそれもパッとしない返事だった。どうももうあまり復帰するつもりはないようだった。
彼女は
「復帰したら正社員からパートに雇用契約を切り替えることになってる」
「子どもが小さいうちは復帰しないでほしいと職場からも言われている(社員の突発的な欠勤に対応できる仕事ではないため)」
というようなことを言った。
彼女の仕事は、例えて言えば美容師みたいな仕事だ。
小さい店舗に数人のスタッフがいて、お客さんは基本的に事前予約制。朝の出勤時間は一般的な会社より遅いが、その分夜も遅い。その日出勤予定のスタッフの人数に応じて予約を取るし、指名なども入るから、急な欠勤への対応がかなり難しい。
夜働けない・子どもの病気などで突発的に休むことが多い子持ちは、社員としてあまり歓迎されないようだった。
たぶん彼女が産休に入ったあと人も補充(採用?)されて、戻ろうにも居場所がないのもあるだろう。
旦那さんが全国転勤前提の仕事についているため、復帰したところでいつまで今の土地にいるかもわからない、という事情もあるらしかった。
復帰の予定がないなら、子どもを産む時点で会社をやめて、育児休業給付金は受け取らない。
というのが育休の制度が想定しているところだと思うのだが、彼女はそうせず、辞める決心まではしてないけどたぶん復帰はしないだろうというグレーの状態のまま、とりあえず給付金を受け取っている状況だった。
腹は立たなかった。
けど制度の欠陥だよなとは思った。
勤め先に迷惑がかかるわけではなく、あとから返金義務が発生するわけでもないなら、そりゃもらえるもんはもらおうとなるよなと。
わたしの職場では子どもを産んだからといって辞める人なんてほぼ皆無なので、「復帰しないんだ…このまま専業主婦になるんだ…」というところに驚きはあったけれど、彼女のように「いつでも再就職できる資格を持って・子育てと相性の悪い職種で・小規模な会社で働く」人にとっては、一旦辞める、というのが最適解ぽい、という理解はできた。これはたぶんわたしの世界が狭すぎた。
そして今まで社会保険料を納めてきたのだし、いつか再就職したらまた納めるのだから、給付金はもらいたくなるよな。
いっそ子育てをする人みんなにお金配っちゃえばいいのにね。
たとえば、つわりが重すぎて妊娠初期に会社を辞めざるを得なかった人などは給付金がもらえないわけで。なんだかそれも不公平だよな、などと考えた。