四連休に入ってまた大木くんと家を見に行った。
前回より少し価格の高い家。駅徒歩11分。3LDK+S。
すごくすごくいい家だった。シックな外観。よく陽の当たる開放的なリビングと、その片隅に洒落た書斎スペース。設備や仕様も充実していて収納スペースも十分。
たっぷり2時間以上も営業さんの話を伺って、これ以上ないほど買いたい気持ちが高まった。買わないけど。あと1、2週間で出産予定日なので。
でも大木くんもこれまで見た中で一番気に入ったようだし、今後家を探すときは今回の物件を基準にして探すことになるだろう。この物件よりいいものがあればその時はきっと即決だ。
しかし、営業さんはまったく問題ないというようなことを言っていたが、この金額は本当に妥当なのだろうか。
家に帰っていろいろネットで調べてみたが、サイトによって書いてあることはまちまちでよくわからない。ローンの返済額は額面収入の2~3割程度であればよいとか、いやいや、手取りの25%までだとか、頭金は物件価格の3割必要だとか。……
いったい何が正しいのだ。
手取り収入の25%以内とか言われるとこのエリアでは全然買えないのだが……。バス通勤になってしまう。
と、いうわけで、赤ちゃんも生まれなくて暇なので、人生でかかるお金を試算してみた。
A4の紙にちまちまと今後の見込み収入、生活にかかるお金と老後資金、住居費等を書き出してみたところ、95歳時点で3~4000万円手元に残っている、という結果になった。3000万余るなら不測の事態が起きても少々耐えられそうだ。いけるのか……? と安心しそうになるが、見直してみるといろいろつっこみどころのある想定になっている。
参考までに、想定としてはこんな感じ。
【収入】
・今後、60歳時点まで大木くんもわたしも平均しておよそ10万円(税込)ずつ年収が上がりつづける。
・60歳以降は、6割減した収入で70歳まで働く。
・退職金は現在の先輩社員がもらっている額の6割くらいまで減っている。
・児童手当は現行の制度が続く。
【支出】
*今年1人目の子どもが生まれ、3年後に2人目が生まれると想定。
生活費
・ネットで軽く検索したら平均的な4人世帯の生活費は月約30万円(住居費、教育費を除く)とあったのでそれが26年続くとする。
・同様に、子どもが独立後、70歳までは月27万円の生活費がかかる。
・上記のほか、帰省や旅行、その他臨時支出として年間60万円を計上。
・さらに、車の購入費用として生涯で500万円を計上。
教育費
・2人とも中学まで公立、高校以降は私立で、大学は理系に進むと想定。
住居費
・今回見た物件を購入したとする。頭金として500万円用意。諸費用や家具代等で別途300万かかるとする。
・35年ローン、変動金利で利率は0.45%とする。
・固定資産税は年15万円。
・修繕費として年平均24万円を計上。
・30年後に水回りを大幅にリフォーム。
老後資金
・年金受給開始年齢は70歳に引き上げられている。
・受給額は、現在の平均的な年金世帯より、月5万円少なくなっている。
・95歳まで生きる。
・上記及び去年の「老後資金2000万円問題」の根拠を参考にして、老後資金として70歳時点で3000万確保している必要があると見積もった。
ざっとこんな感じ。
うーむ。何か見落としてそうな気がするし、これだけ見てもすでに穴だらけである。
まず、毎年10万円ずつ年収が上がる前提になっていること。ここが一番甘いところだ。周りの年配社員たちを見ていると、このくらいかもしかしたらそれ以上もらっているようだけれど、このコロナの時代に、そう都合よく行くわけがあるまい。税金や保険料も今より上がるだろうし。あと、「全く出世しない」「リストラされる」などの可能性を考えられていない。
そして、2人とも健康で70歳まで働く前提になっている。これは、今後定年が65歳まで引き上げられ、再雇用で70歳までは雇ってもらえるようになるだろうという見込みから算出しているが、人によっては60代後半って結構体にガタが来ていて、働ける保証はない気がする。2人とも65歳までしか働かなかったら90代半ばで貯金がゼロになる。人生100年時代というが、長生きしたら詰む。というかその歳で自宅暮らしできるのか? 未来の介護制度はどうなっている?
それから、生活費や教育費はテキトーに検索したサイトに載っていた全国平均を基にしたが、我々は都内在住だし、これで収まらない気がひしひしとする。というか、現状でいくら使っているかすら把握していない。
それにうっかり3人目の子どもが生まれるかもしれない。そうすると一気に苦しくなる。
離婚・死別・働けないほどの病気などの可能性も無視。
地震でせっかく買った家が壊れるかもしれない。
他にも、インフレとかデフレとか、景気の変動を全く加味していない、というかできない。それ言い出したら素人に試算は無理である。
……などと考え始めるときりがなく、不安しか募らない。
子どもは2人欲しいけれど、1人であればこんなに悩まないで済むのに…などとも考えてしまう。
怖いなあ。
かんぽ生命のCMで「人生は夢だらけ」と歌っていたが、実際は、未来は不安だらけ。
いかんせん景気がよくなるイメージが持てないからな。
ただ、わかったのは、家を買うお金が数百万変わろうが、人生に対するインパクトは小さそうだということ。やはり次に今回くらいの物件があったら思い切って買っちゃおう。
結局、どんな人生になったとしても、その都度現状に合わせてやりくりするしかないようだから。
そしてたぶん一番大事なのは、健康であり続けるということと、大木くんと協力し続けるということ。
これさえできれば、大抵のことは何とかなると思うのだけど。
だめだった時は、まあ、その時はその時だけど、少なくとも努力は怠らないようにしたい。
おかねほしい。