君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

家を買う、夢を見る

土曜日はいつも不動産のチラシが入っている。

その中に、「えっ、なんでこんなに安いの!?」と思えるものがあった。ここから歩いて5分ほど。つまり、最寄駅から15分ほど。隣の駅へはさらに近い。4千万円ちょっと。4LDK。

土日はオープンハウスをやっているということだったので、「行ってみようよ!」と大木くんを誘った。

正直、コロナでまだ人混みへ遊びに行く気にならないし、そろそろ臨月で遠出もできないので、ちょうどよいデートの口実だった。

 

行ってみたら、ちょっと収納スペースが少なく手狭だった。なにより、目の前の道路をひっきりなしに車が通り抜け、どの部屋にいてもかなりうるさい。

結局、たとえ3千万円台に値下がりしたとしてもあの家はないね、という結論に至った。

 

しかし、この見学が「家欲しい熱」に火をつけた。

 

そこから4週連続くらいで新築の見学をしたり、はたまた住宅展示場に行ったりしている。わたしはわざわざ百均でリングファイルを買ってきて、不動産のチラシをファイリングするようになった。

 

翌週見学した駅徒歩3分の6千万円弱の家は、収納スペースが十分でよさそうだった。ただ、ハザードマップ上で色がついている部分のちょうど境界あたりで不安なのと、水回りが全部2階にあるから老後は暮らしづらそう、そして何より、諸経費を入れると6千万を超えるというのは不安。払えなくもないだろうが、何かあった時に対応できない気がする。

 

次に行った住宅展示場のモデルハウスでは営業マンにつかまり、予算を打ち明けてみた。すると、我々くらいの収入なら予算5~6千万というのはとても「ふつう」だと言われる。そうなの?みんなそんなに家のためにお金を使っているの? と驚いてあとから検索してみると、本当に、都内に住む同じくらいの世帯年収の人たちは6千万くらいの物件を買っているらしかった。そこでちょっと勇気づけられた気分になってしまうわたし。

買えるんだ……わたしたちでも、注文住宅が。と。

 

そして先週は近所にある5千万を切る4LDKの家を見に行った。

物件は、何の変哲もない建売の家だが、広さ十分、収納もたっぷり、日当たりもよし、周辺も静かだし申し分なかった。

先日チェックしたときはまだ7,8棟ほどまとめて売っていたのに、今はもうほとんど売約済みになっている。「人気なんですね」と営業の方に言ったら、「コロナの影響でテレワークが進んで、郊外の戸建てが人気になっている」という。営業さんも「どうせすぐ完売するだろう」という余裕があってか、ガツガツしていない。

これは…買いなんじゃないか、買うべきじゃないか、と思って、しかし結局臨月では何も決断できず、営業さんにお礼を言って家路についた。

 

引っ越したばかりだし、子どもが生まれる前の休業中の今は不確定要素が多すぎて家を買うなんてとても考えられないのに、なぜこうも惹かれてしまうのか。

あの最初の1軒以来、わたしはネットで物件の検索をしまくっている。新築、中古、土地。 最近はスマホの広告が不動産だらけになってきた。そしてよさそうなものを見つけるたびに、この物件いいんじゃないかと大木くんと盛り上がる。大木くんは特に安い中古物件を買って20-30年後に建て替える案が気に入っていて、昨日もわたしが見つけた築34年の物件に目を輝かせていた。まあ、見るだけで結局買わないけど。

 

たぶん今は、夢を見ているだけだ。

今よりよくなる将来を、そのたくさんの可能性を、夢に見ている。

そしてその可能性にときめいている。

 

その輝く将来を早く手に入れたいと気持ちがはやる一方で、子どもが(計画している)2人生まれて、仕事に復帰し、この町で仕事と子育てを両立してやっていくリズムができるまでは、というかその自信がつくまでは怖くて決断したくないという思いもある。

しかしそうこうしていると大木くんが40歳になってしまう。

 

いつかは決断しなくちゃ。

夢を見るだけなのをやめなくちゃ。

 

だけど今はまだその時ではない、と思う。

 

 

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昨日は大木くんが午後休みだったので、昼食にゴルゴンゾーラのニョッキを振舞った。