君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

春の匂い

このあたりは白うどの産地である。

今日、くうちゃんを外気浴させるべく抱っこ紐に入れてふらふらと近所を散歩していたら、野菜の直売所でうどを発見した。小ぶりだが3本入って350円。買うしかない。

 

最近、夕食の準備は、前日の晩にできるところまでやってしまう。家事の中で料理が一番、途中で中断されたくないものだからだ。夕食の準備が済んでいれば、日中は心置きなくくうちゃんを抱っこしていられる。

 

さて。明日の献立は、大根のグラタンとオムレツ、さつまいものスープにするつもりだったが、スープを取りやめてウドのきんぴらを作ることにした。

白ごはん.comでレシピを見つけ、白くてやわらかい茎をサクサクと薄切りにしていく。

みずみずしいうどの香りが立ち昇ってきて、春だなあ、と思った。

 

わたしの母は、料理に山菜や珍しい食材を使うことのない人だった。多分、5人分の食費をやりくりするためスーパーで定番の安い食材ばかり買っていたからだろう。だからわたしは、ふきのとうもたらの芽も、大人になってから初めて食べた。うどを初めて食べたのはほんの3年前だ。

だからうどの香りを嗅いだところで呼び覚ます春の記憶などないのに、その香りは春としか言いようのないみずみずしさだった。

 

ひとつつまんで生のまま食べてみた。苦味と灰汁と、香り、やわらかい水分。

春だ。まだ肌寒い春の味。

馴染みのない食材なのになんだか不思議だ。そしてなんだかうれしい。

 

 

きんぴらは簡単にできた。炒め終わったものを試食してみる。レシピよりやや薄味にしたものの、さっきの香りと苦味はだいぶ飛んでしまった。でもまあ、このほうがふみちゃんも食べやすいだろう。

 

うどはまだ残っている。土曜日、今度は酢みそ和えか天ぷらにしようと思う。