君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

出産・育児に吹く頑張らなくていいの風。(備忘録)

上の子と2歳差で今年下の子を産んだのだが、病院の対応が結構変わっていたのでそのことをメモしておく。

 

利用したのは2度とも同じ都内の公立総合病院。

変わっていた点は次の3点。

 

①以前は行われていなかった無痛分娩が選べるようになった

②完母(完全母乳育児)が推奨されなくなった

③原則母児同室だが、例外が多く認められるようになった

 

 

①無痛分娩について

以前は何かしら医学的に必要な場合以外には行っていなかったのだが、いつのまにか誰でも受けられるようになっていた。普通分娩にプラス10万程度で硬膜外麻酔をしてくれるらしい。

まだ試行段階なのか予約枠が極端に少なく、わたしは利用できなかったのだが、時代の流れを感じた。

無痛で産んでみたかったな。将来的には無痛分娩がスタンダードになるのだろうから、わたしも経験してみたかった。新しい時代の一員として。

まあ誘発剤を入れ始めてたった3時間での出産だったので、結果的にはそこにお金かけなくてよかったが。

 

②完母非推奨について

2年前も、母乳とミルクの割合をどうしたいか、という希望を聞いてそれに沿って指導してくれていたので、当時から必ずしも完母を絶対視しているわけではなかった。

しかし今回は、完母を希望する産婦に対しても、「母乳が軌道に乗るまでは母乳だけでは足りないため、必ず3時間ごとにミルクを足すように」と指導された。

たしかに母乳は、赤ちゃんに吸ってもらうことによって徐々に分泌がよくなるため、産後間もない頃はちびりちびりとしか出てこない。個人差も大きい。場合によっては脱水症状を起こす赤ちゃんもいるのだろう。

しかしそれはおしっこの回数や毎日の体重測定などでチェックしているから大丈夫ということだったのでは?

時代は変わるものだ。

前回はほぼ完母に近い形で授乳していたわたしも、今回は指導どおり3時間ごとにミルクを足した。そのせいか赤んぼうはものすごくよく眠った。深夜は覚醒してミルクの合間にも母乳を飲んだりしていたが、日中は体を揺すったりして起こしてやらないとおっぱいを口に入れようともしないし、飲み終わればそのまま寝てしまうほどだった。

こんなんでいいのか?おなかいっぱいですやすや眠る子をわざわざ起こしてまたおなかいっぱいにさせるなんて、とも思ったりしたが、すぐにお腹が空くのか1日に20回近くおっぱいに吸い付いていた上の子の時のことを考えると、やっぱり不足気味なのをそのままにしておくのもかわいそうだったなとも思った。当時は不足気味なのかどうかもよく分からなかったけれど。

ちなみに、前回はミルクをあげたい人が都度自分で用意しなければならなかったのだが、今回は病院側で30ccとか50ccとかのミルクの瓶を予め温めて用意してくれていたのでとても楽だった。

なお、母乳はすぐにジャバジャバ出るようになったので、退院してからはミルクは1日1回しかあげていない。

 

③母児同室について

前回の入院時につらかったのは、赤んぼうが昼も夜もおっぱいを欲しがって泣き続けていたことだ。大部屋だったため、「赤ちゃんなんて少しくらい待たせても平気よ♪」なんて言っているわけにはいかない。特に夜中は、他の産婦さんを起こしてしまう、と焦り、赤んぼうが泣くとすぐに抱きかかえて授乳をした。

乳首が荒れて授乳のたびに激痛がした。なんとか耐えて30分くらいかけて授乳を終え、赤んぼうもようやく寝息を立て始め、これでようやくわたしも休める、とウトウトしかかったところでまた泣き声がした。

その無限ループに途方に暮れ、病室のカーテンの中でこっそり泣いていたときに助産師さんに見つかって、「どうしてもしんどかったら新生児室で預かるからね」と言ってもらった。

それが2年前。

つまり、2年前は「どうしてもつらかったら」じゃないと預かってもらえなかったのだ。実際、新生児室はがらんとしていた。

それが今回はどうだ。母児同室になる初日から「しんどかったら預かりますから言ってくださいね」と先回りしてアナウンスされた。助産師さんたちは「退院したらもう休めないんだから今のうちにしっかり休んで」「夜寝たければ夜中の授乳はこちらでやっておくよ」などと口を揃えて言っていた。

授乳室に集まった他のお母さんたちを見ていると、3時間ごとの授乳のタイミング以外預けっぱなしという人も結構いた。夜間だけ預かってもらっているという人もいた。

新生児室は常に赤ちゃんでいっぱいだった。

なんだか浦島太郎にでもなった気分だ。

わたしはというと、前回の教訓を活かして今回は10万多く払って個室にしていたし、ミルクを足すおかげで赤んぼうが本当によく寝るので、新生児室に預ける必要性を感じずずっと赤んぼうと一緒にいた。

分娩時に2リットルを超える出血があって貧血でふらふらしていたが、個室で赤んぼうとふたりきりですごす時間は悪くなかったと思う。

生まれたてほやほやの頃の顔は生まれたてほやほやの時にしか見られないので、これはこれでよいのだ。

 

 

とまあ、たった2年でこんなにも状況が変わった。

全体的にスパルタな雰囲気が薄らいだというか。

痛みを耐えてこそ出産!がんばって産みましょう!

母乳が最高の栄養!24時間赤ちゃんのそばにいて、ほしがったらいつでもあげましょう!

などという根性論的な圧の強い空気がなくなっていた。

 

これは出産・育児のスタンダードが変わったというのもあるが、そもそも日本全体の空気感として「むりに頑張らなくていい」という流れになっているからだろうな、などと思った。

働き方改革とかリモートワークとか土曜の郵便配達の中止とか家事代行サービスの流行とかパワハラの厳罰化などと根幹は同じ気がする。

 

もっと合理的に、もっと楽に。もっと(精神的に)健康に。

そんな流れが加速している。

 

今後もどんどん変わるのだろう。

自分の心地よさや求めるものがどこにあるのかを自分で把握して、わたしもその流れに乗っかっていきたいと思う。