君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

とってもおデブになった感覚

妊娠しておなかが大きくなると、肺が圧迫されて息が切れやすくなるらしい。心臓にも負担がかかるらしい。そして単純に体が重い。

そんなわけで、日に日にちょっとした動作で体力を消耗してへとへとになってしまうようになった。

例えば保育園までふみちゃんを送っていくだけでも。

駅チカの保育園は、本来ならうちから徒歩13分、なのだけれど、途中坂道もあり、今のわたしでは20分かかる。ぜいぜいいいながらゆっくりゆっくりベビーカーを押す。

暑さもあって、上り坂の途中、もうだめだ、と思う。

なんだか体重100キロくらいのおデブさんになった気分。

 

下り坂もきつい。妊娠後期になってから恥骨痛が結構重くなってきていて、体の前側に力がかかる下り坂は恥骨付近に負担がかかってつらいのだ。最近はちょっと寝がえりを打ったりしゃがんだりするだけでも痛みを我慢しながら慎重に体勢を変えなければならないほど。

前回の妊娠ではここまでではなかったのだが。前回の妊娠で受けた体のダメージが回復しないまま今回の妊娠に至ってしまったこと、前回に比べて体重が3キロも増えていること、それから前回よりも2歳分年をとっていること。それらの原因が重なって、今、2年前の妊娠とは比べ物にならないくらい日々しんどい。

 

反り腰で、重たい体をよっしょよっしょとゆすりながら、くまのプーさんみたいなガニ股でのろのろ歩く。

 

そういえば前の職場にこんな歩き方のおばちゃんいたなあと最近よく考える。

社員ではなくて、委託先から派遣されている掃除のおばちゃんだ。

見るからに重たそうなとっても太った体をのろのろゆさゆさと動かしながらいつもうちの会社の廊下を歩いていた。

たまに壁にもたれかかって息をついているのを目撃した。

それを見てわたしは(だらしないなあ)と感じていたのだけれど、もしかしたらあの人、今のわたしくらい、ただ歩くだけでしんどかったのかもしれない。そんなふうに考えるようになった。それなら、壁にもたれて息をつくくらいして当然だ。こんなにしんどいのだから。

産休に入ってから、そんなふうにあのおばちゃんのことを思い出す。

 

わたしは出産を終えればある程度体重は落ちるし、肺の圧迫とか心臓への負担などもなくなって、すぐに元通りとはいかないまでもいくらか身軽に動けるようになる。

でもあのおばちゃんはずっとこのしんどさと付き合いながら働いているしこれからもそうなのだろうな、と思うと少し不憫な気もする。

太っているのも、本人が怠惰なせいとは限らない。何かの病気なのかもしれない。

 

体を動かすのがしんどいならデスクワークの仕事を探せばいい、などという理屈もあのおばちゃんには酷な話だ。

時々むこうから話しかけられてひとことふたこと言葉を交わすことがあったが、その会話の幼さから、本当に失礼ながら、たぶん軽い知的障害があるか、少なくとも境界知能くらいの方なのだろうという印象を持っていた。デスクワークの仕事はたぶん見つからない。

 

 

いや、だから何という話なのだけれど。

今回の話にはとくにオチはない。

妊娠して、おばちゃんのことをすこし思い出したというだけ。