君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

母とわたし、または家族とわたし、と関連して結婚の話

カプセルホテルに泊まって母に電話をした。
イタリアから帰ってからほとんど報告もしていなかった。あと聞きたいこともあった。大木くん(仮)がいるとあまり実家に電話もできない。

はじめは楽しくはなしをしていたが、先日わたし以外の四人で話をしていたときどうだったかを聞くと、母があきれたように言った。妹二人がわたしに対して冷ややかになっている。と。

それぞれ理由がある。どちらもわたしが悪いと言うことになっているらしい。こっちにも言い分があるのに。わたしだってすごく悲しかったのにわたしの悲しみはわかってもらえない。

結婚式をあげても、誰も喜ばないのかもしれない。そう思うともう結婚式はできないという気分になった。
大木くんを会わせたとき、父も母も喜んでなかったものな。母にいたっては、初対面のときなど怒っていた。わたしの学生時代のことを取り上げて「あれだけ迷惑かけておきながらあんたは結局死なない」と言ったのだ。悲しくてひっそり泣きながら寝たのを覚えている。

それを指摘しても、あんたの勘違いだと言う。勘違いなはずないと思う。怒りと喜びの区別くらい、わたしにもつく。あるとすれば母が自分の記憶を都合よく書き換えているのだ。

姉妹仲良くしてくれ、と言われる。わたしだってそうしたい。でも一緒にいて傷つく相手なら、本当に幸せな報告を時々聞くだけでいい。遠くから。


痛み止めを飲んで寝たのに翌朝すごい頭痛で、まぶたの腫れもひどく、とりあえず午前中休むことにした。
午後から仕事に向かったが、バスの中で突然涙が止まらなくなって結局仕事には行けなかった。自分の送別会をドタキャン。なにかを想像して涙が溢れたのだけど、何を想像していたかは忘れてしまった。思い出そうとすると、ただ涙が出るだけだ。


翌日カウンセリングにいくと、病院にかかってもいいかもしれないと言われる。


ハンバーガー屋に並びながら、大木くんに報告。
精神科にかかっているような人間と結婚するなんてリスクが大きいから、結婚したくないとわたしは言った。じゃあどうするの?と問われ、二人暮らしを始めたばかりのこのタイミングですぐ別れるのは難しいから、半年くらいおとなしくしたあと、しれっと別れようと提案。じゃあとりあえず半年くらい結論出さなくていいんじゃないのと大木くん。わたしのしんどさについては、興味を持ってくれない。めんどくさいだけかもしれない。
彼の人生が失敗にならないためにも、別れるなら早い方がいいと思う。そもそも彼がいなければわたしの涙は半分くらいで済むのだし。


前の職場は遠い。その上大木くんは残業で帰りが遅い。わたしはもう寝る時間。ほんの数日のすれ違い生活だが、寂しさで死にそうだった。なにがしんどいって、大木くんはたいして寂しくなさそうなところだ。わたしがいてもいなくてもなんともないのだろう。ひとり、馬鹿みたいに、そう、典型的なメンヘラ女みたいに、ひとりだけ、つまずかなくていい場所で躓いて泣かなくていいことで泣いている。なんでこのしんどさは、誰にも伝わらないんだ?