君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

新型コロナウイルスの備忘録(3月1日時点)(自分用)

非日常的な出来事は形を変えて人生で何度も訪れるし、渦中にいる今は淡々と日々の変化を受け入れているけれど、やっぱり非日常的だとも思うので記録しておく。

みんな知っている状況を記録しているだけなので読んでも面白くはないと思う。本当に、十年後とかに読み返すようの備忘録。カミュの小説『ペスト』のようなことが目の前で起こっているようで興味深いので。

 

1月中はずっと自宅安静だったので昼間のワイドショーをよく見ていた。中国ではやっている新型コロナウイルスのニュースを見ていて、まあ日本でそんな重大な事態になることはないと思っていた。18日に父が出張のついででうちに遊びに来た時、3月に上海に旅行予定だという父に、「流行ってるのは武漢だけど、十分注意して行ってね」というようなことを言った。

しかし事態は刻々と進行し、翌週には武漢以外の中国のほかの地域でも外務省のホームページで注意喚起がされるようになり、わたしは母に「旅行は延期したら?」とLINEした。

 

1月末に春節で(例年よりは少ないとは言え)多くの中国人が日本を訪れるようになると日本国民にも危機感が芽生え始めてきたらしく、安静が解除された31日に慌ててドラッグストアをのぞいたが、もうマスクは一つも売っていなかった。何件もコンビニも回ったけれどやはりマスクの棚は空っぽだった。東京がこんなことになっているとは思ってもいなかった。

驚いて夫婦ともにそれぞれ両親に連絡をとり、マスクを送ってもらうことにした。そのころは、ど田舎まで行けばまだ売っているところがあったのだ。(と言っても私の実家の近くはもうほとんどなかったようで、母から話を聞いた、さらに田舎に住む友人がかってくれたらしい)おかげでひと月たった今もマスクはまだ備蓄がある。みんな「妊婦が感染したら大変だから」と探し回ってくださったようだ。大変ありがたい。

週明けから職場復帰したが、毎日食事の時以外はマスクをつけ、職場についたらまず手を洗い、食事の前にはウェットティッシュで手を拭いた。やりすぎかなあとは思ったが、一般的に妊婦が肺炎にかかると重症化しやすいらしいので気を付けるに越したことはないだろう。

ちなみにマスクについてはその後職場でも配られた。あるところにはあるらしい。

 

しかし職場復帰してしばらくはまわりでも毎日ずっとマスクをつけている人は半分もいなくて、なんだか自分だけ過剰に心配して馬鹿みたいだとも感じていた。ニュースではよく「正しく恐れましょう」というようなことが言われた。SARSやMARSよりずっと致死率は低いですよ、日本では毎年数十万人がインフルエンザにかかり数千人が死んでいるのだから、それに比べればずっと影響は少ないですよ、普段やっている感染対策を徹底すればいいんですよと。

 

状況が変わってきたのはここ2週間くらいか。

日本でも感染経路のわからない人や市中感染のニュースが次第に現れ、それが報じられるようになり、ニュース番組は毎日トップでそれらの情報を伝えた。ヤフーニュースのコメントはときに数千件、いや1万件を超えた。渡航歴や感染者との濃厚接触者以外は検査をしてもらえないらしく、メディアではひっきりなしに政府の対応が批判された。発表されている以上に実際は感染者がたくさんいるのではないかと言われたし、国民もうすうすそう感じ始めたようだ。気づいたら電車に乗っても9割以上がマスクをしているような状態になっていた。周りの社員もお客さんもほとんどがマスク姿。

 

東京マラソンのような大規模イベントが縮小されたりし始め、勤め先にも「対応を考えた方がいいのでは?」という空気が流れ始めた。

21日に関連会社に電話をかけまくって向こう4週間のイベントを実施するのかを確認したときは、9割が「実施」と回答したが、3連休が明けた25日に再度電話したときは9割が「中止」と答えた。

新型コロナウイルス関連の問い合わせも増えて来て、ひっきりなしに新しい情報も入って来るし、毎日3時間はそれらの対応に追われている感じで、本来の仕事も進まない。上司は「接触してないのにコロナに感染しそう」と言っている。逆に大木くんは、予定していた現場での仕事がなくなったりして暇になったらしい。

駅では「厚労省からのお知らせです」なんて時差出勤や在宅ワークを求めるアナウンスが流れるようになった。

 

そして衝撃は27日夕方の「小中高等学校全国一斉休校の要請」だ。残業中にその噂をきいて「そんなに劇的な策を?」と思ったが、うちに帰ってニュースを見たら本当だった。東日本大震災のときのニュースの緊迫感を少しを思い起こさせた。そんなに大きな出来事だったっけ?子どもの重症化ニュースって聞かないけど。

その日はコロナウイルスの夢を見た。

業務委託先が「コロナウイルスの感染拡大防止のため、当面閉店します」と言ってきて、それは困る。いや、困るのはうちじゃなくてお客さんなんだけど、とっても困る。と思って、考え直してもらえないか説得しに行く夢だった。

 

しかしどうなることかと思ったが、少なくとも、おととい、28日時点ではうちの部署でやっているサービスは原則従来通り続けられることが決まっていた。

トイレで社員たちもうわさしていて、「総理、手を付けやすいとこから手を付けやがったな」と言っていた。本当にその通りだ。企業や経団連にいうことを聞かせるのは難しいし経済的な大パニックは避けたかったんだろう。その点、学校なら経済的な影響はそこまで大きくないし国の言うことも聞く。ただ小学校低学年のお子さんのいる家庭は厳しいだろうなと思った。実際、そういう苦情が業務委託先からも届いた(スタッフが確保できないと)が、その日のうちには学童が夏休みや春休みと同じ時間開所することが決まった。学童は大半が非正規職員だしいきなり長時間開所して人を集められるのか疑問だし、学校より密室で密度も高いイメージがあって、感染拡大防止になるのかも疑問だけれど。まあこれで大人たちの日常は守られたわけだ。

あふれかえる情報にてんやわんやではあったが(元請けからは深夜1時にメールが来ていたりした。お疲れ様です)、なんとか平常通り週末を迎えた。

 

大木くんと話し合って、しばらく休みの日もわざわざ電車に乗って出かけたりはしないことにし、この週末は耳鼻科へ行ったり(花粉症患者にとっても重要な時期である)、ほけんの窓口に行ったくらいでゆったり過ごした。ジムにも行ったけれど、わたしは壁に向かって歩くだけだし客が数人しかいない時間帯だったので大丈夫だろう。と思う。

来週末は本当は戌の日のお参りに行くつもりだったけれど行かないだろう。

みんな同じように行動しているのか、土曜の昼のスーパーは異常なくらい混雑していた(レジに20分以上並んだ)。マスクの入荷でもあったのか、近所のドラッグストアに長蛇の列ができているのを見かけた。完全なデマであるのに全国的にトイレットペーパーやおむつが品切れを起こしているという。本当にトイレットペーパーを今日切らした人や赤ちゃんのいる家庭はたまったものじゃないだろう。いつも職場で使っているアルコールウェットティッシュがほしかったが、これも売り切れだという。

 

ニュースでもあまり「正しく恐れましょう」とは言われなくなってきていると感じる。当初想定されていたよりも感染力が何倍も強かったことがわかり、致死率も全体では2%ほどのようだが(それでもインフルの20倍?とかだ)、高齢者や他の疾患のある人ではその何倍も致死率が高いことがわかってきた。若い人の重症化のニュースも出てきている。

 

これからどうなるのだろう。

全国一斉休校の間にも企業の経済活動はつづく。わたしは2月の職場復帰時点から通勤ラッシュのピークを避けて通勤しているとはいえ、それでも乗車率およそ100%(つり革が全部埋まるくらい)のこの状態は何も変わっていない。ピーク時も、たぶんさほど変わっていないのではないか。うちの会社は遅れていて、リモートワークはできないが、そういう会社もいっぱいあるだろう。

本当に収束していくのだろうか。

オリンピックは開催されるのだろうか。日本経済は大丈夫なんだろうか。

ちなみに大木くんは、円が安くなったこの機会に外貨建ての預金を戻そうと考えたらしいが、今の彼の預金はオーストラリアドルとかばかりで、このあいだの大規模森林火災で円安どころじゃないほど安くなってしまっていたそうだ。そりゃそうだ。

 

たぶん明日からもちょこっと縮小されたいつもどおりの日常がつづく。

 

 

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土曜日のお昼は菜の花のペペロンチーノ。晩ごはんは餃子。お出かけできないので、食事くらいは楽しくしたい。