先日、職場の同期や先輩とご飯に行った。
仕事の話とかパルシステムが便利とかいう話を一通りした後で、わたし含む三人とも既婚者だったため、話題は夫の愚痴に。
「何度言っても靴下をその辺で脱ぎっぱなしにするんですよー」
「うちも! 靴下もズボンも、せめて一か所でまとめて脱いでって言ってるのに廊下やリビングにばらばらに脱いで回収するのが大変」
「ほんとすごいわがままで。こないだなんか、わたしの携帯に『シャツにアイロンかかってないんだけど』ってわざわざ電話が来たんですよ」
なのだそう。
旦那さんたち、家事、しないらしい。
靴下をその辺で脱ぎっぱなしにする人はもちろん洗濯なんかしないわけで。洗濯もしない人がまして料理なんてするわけがないわけで。(年に一回くらいはやってくれるらしいけど…)
なんでそんな人と結婚したんだ? という言葉を飲み込んで聞き役に回る。
先輩なんて、以前は旦那さんの職場に近い地域に住んでいたため通勤に一時間以上かかっていたのに、家事の大半も担当していたらしい。しかも先輩は当時月100時間残業もざらな激務部署にいた。(すぐに音を上げて、「家事全部するからわたしの職場の近くに引っ越して」と訴えて数か月で引っ越したらしいけれど)
とんでもないくクズ旦那だな! という言葉をまさか先輩の旦那さんに対して言えるわけがないので飲み込んで聞き役に回る。
こういう話題の時、わたしはひどく混乱してしまう。
幸せなんですよね? えーっと、幸せ、なんですよね?? 結婚したんですもんね???
愚痴と見せかけたのろけなのかな。よくわからないけど。
翻ってうちの大木くんは家事やる系男子だ。
たとえば、ゴミ出しは彼の担当なので、資源ごみの曜日とかも完璧に覚えて、ごみ出し前夜にはせっせとごみを集めて準備している。常に天気予報をチェックし、洗濯物を干せる日を毎日見計らっている。あ、お茶もいつも沸かしてくれる。これはどちらの担当と決めたわけではないが、わたしの四倍くらい彼の方がお茶を飲むので。他には、掃除機掛け担当なので、ダイソンの掃除機の水洗いなんかも必要に応じてこなす。食器洗い担当なので、洗剤の詰め替えも大木くんだ。
すごい。
わたしは管理系の家事(つまり料理以外ほぼ全部)が苦手だし嫌いなので大変尊敬するしありがたいことこの上ない。洗濯物、たたまなくていいなんて!!! 大木くん、すき!
わたしたちは一緒に暮らし始めるときに、二人暮らしで必要になるであろう家事を全部リストアップし、それぞれにかかる一週間当たりの時間を出して、なるべく負担が半分になるように役割を分けた。今はただそれを守っているだけだ。(そして、相手のやった家事の成果には、実害が出ていない限り基本的に口を出さない。お互いに。)
おかげで何もいさかいが起こらない。
同棲を始める前は二人とも不安だったので、気がかりなことを全部ワードに打ち込んで規定を作っていった。毎年の貯金額について、とか、生活費の分担、時間の使い方、妊活のはじめ時、子どもは小学校受験をさせない等将来のことにいたるまで。
もちろん、「どちらかの残業が著しく増えたり、体調不良の場合はこの限りではない」「子どもができるなどしたら適宜見直す」などという文言も添えて。
うちはわたしの方が残業が多くて、時期によっては決めた家事が十分にできないこともあるのだが、何も文句は言われない。
我が家は平和である。
どうしてみんなこんなふうにしないのだろう。
こんなに平和なのに。
というか、彼女らの旦那さんたちは、どうしてフルタイム共働きの妻に家事の多くをやらせて罪悪感の欠片も抱かないのだろう。ふしぎ。
この二人は職場の女性の中でも比較的心を開いている相手なので、「うちは結婚前にこういう取り決めをしたから平和だよ」というのをほんの少し話してみたが、
「うちは無理。そもそも結婚する前から『え?家事?やらないよ?』っていう人だったから」
と言う。打つ手なし。そうなのか。一生ワンオペとわかっていて結婚したのか。
ならばもうわたしからは何も言うことはない。
やっぱり愚痴ものろけのうちなのかな。「うちの夫はこんなに手がかかるの(だからかわいい)」とか「わたしこんなに尽くしているの(それは夫が好きだから)」的な。
ただ、少し理解できたかもしれない発言が一つ。上記の「家事やらないよ」発言の旦那さん、「その代わりうまいもの食わせてやるから」とも言ったそうだ。
そうなのである。
彼女らの旦那さんたちは、二人ともどうやら高給取りのようだった。大手メーカー勤務で全国を飛び回るエリートサラリーマンと、弁護士である。
そういうところで埋めあわされているのかもしれない。
女性側が、旦那さんがたくさん稼いでくれることで相手を尊敬出来たり、その経済的豊かさに幸せを感じるタイプだったら家事しない系男子も需要はあるようだ。
旦那さんも「俺の方が稼いでる」と思うと、家事しなくても罪悪感を抱きにくいのでしょう。
うわ、身も蓋もない結論。
世の中金だった!
世知辛い!世の中世知辛いよ!
でもわたしは、今後大木くんが高給取りになったり、わたしがなにかやむを得ない理由で専業主婦になったとしても、洗濯物はたたまないからな! 絶対に!!
写真は何日か前の大木くん作の晩ごはん。
肉じゃがと、ささみのパン粉焼き。見事冷蔵庫の中にあった食材のみで作ってくれた。ジンギスカンのたれで作る肉じゃがが完璧な出来。
月一の大木くんがご飯を作る日。
大木くんが煮汁を床にこぼしても調理に一時間半かかっても、文句は言わないことにしている。失敗しただけ成長するよ~と気長に見守る。家事無双する大木くんはかっこいいだろうな、と未来を想像して、今がしあわせ。
これが夢なら覚めないでほしい。
わたしは、大木くんこそがわたしにとっての世界一の夫だと思っている。でも、先輩や同期も、きっと同じように思っているんだろう(たぶん)。その点ではみんな同じ。