5日目。
朝から雨。
宿からはマッターホルンが見えるはずだが、厚い雲で何も見えない。
少しホッとする。ここまで毎日が大スペクタクルだったのでここらへんで一息入れたいところ。
スーパーに行き、当面のパンと今日の昼食用に茹でるだけのラビオリを購入。
再び宿に戻り、朝食を食べたら洗濯をすることにする。この4日分の汚れ物を洗うのだ。
この宿には洗濯機があるとブッキングドットコムには載っていたのだが、実際には何もなく、また有料のランドリーサービスは高すぎたので手洗いすることに。
洗剤は日本から持ってきている。洗濯用のひもも。
わたしが洗い、大木くんが脱水する。
紐を窓やタンスの取っ手にくくり付け、この上に洗濯物を並べる。
非常に景観が悪くなったが、一仕事終えた気分。ゆったりしたいつもの休日のような。
ラビオリをゆでて簡素な食事を終え、昼からは出かけることにした。
ツェルマットから電車で2時間のシオンという街へ。
旧市街の丘の上に、城塞のような外観の教会と、200年以上前の火災で廃墟になった城があるらしい。
丘の上ということで結構登る。
あれだ。
教会の中には、浮かぶようにパイプオルガンが。地球の歩き方によると、世界最古の演奏可能なパイプオルガンなのだそう。
ちょうどイベント前らしくて、調整のためか小さな教会内にパイプオルガンの音が鳴り響いていた。
本番でないので、演奏は数フレーズで止まってしまうものの、パイプオルガンの音は天と直接つながっているかのような神聖な響きで、こんな歴史を感じる音をこの場所で聴けたことにわたしたちは感動していた。
さて、教会の次は隣の丘の上を目指す。
ブドウ畑のわきを通り、
坂を登る。
階段がすごい。単に急というだけでなく、ファンタジー映画の中に紛れ込んだような荒涼としたこのたたずまいね。
先ほどの教会を横目に見ながら。
あそこだ。
屋根は完全になくなっている。
いま、残っているのは壁の一部だけのようだ。
高い丘の上にあるのであたり一帯が見渡せる。
向かいの丘は、一面がブドウ畑のようだ。
さっき入った教会も、あんなところに。
パズルとかであるヨーロッパの景色みたい、と大木くんが言った。
本当に。
わたしは海外はスイスが7か国目だけれど、中世のお城だとかを見る機会はこれまでなかったから、この景色は初めての体験で、ちょっと遠出してシオンまで来てよかったなと思う。
さてさて。
教会や城跡を満喫したので、丘を降りることに。そして旧市街にてチーズ屋さんを発見。
おっ、今日の夕飯に良いのでは?
購入。
ヤギのフレッシュチーズも。
次は加工肉屋さんを発見。
ソーセージを2種類買ってみた。
さらに、帰りがけにパン屋さんでキャベツくらいの大きさの茶色いパンを買う。渡されて驚く。キャベツくらい重い。
乗換駅のフィスプで時間があったので、駅前のスーパーで食材を調達。
ツェルマットに帰り、夕飯の準備を。
ソーセージを焼いて、チーズを切って、ジャガイモで見よう見まねのレシュティ(スイスで一般的なジャガイモ料理らしい。細切りにしたジャガイモに塩を振ってバターで焼くよ)を焼き、クノールの粉末スープでビュンドナー・ゲルシュテンズッペというスープも用意。
それから、スイスワインも。
なんだかリッチな食卓になったんじゃないか。
白ワインはあっさりしていて飲みやすく、ソーセージはちょっとしょっぱかったが、日本では食べたことがないくらいめちゃくちゃジューシーで、「肉食ってる!」って感じだった。プロセルチーズの方は濃厚な味わいでおいしい。ヤギのチーズは…ジンギスカン食べてるみたいだった!風味が!チーズなのに!
旅行中、もしかしたらこの日の夕食が一番おいしかったかもしれない。
小さいボトルではちょっと飲み足りない気もしたが、明日はハイキング。明日に備えてしっかりと眠る。