君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

片頭痛と死の予感

日曜日、ちょうど前回の記事と前後する時間帯、雨が降り始めててきめんに頭が痛くなった。

ああやだな、と思っているとあっという間に悪化して、あわてて市販の頭痛薬を飲み布団に入った。
なんだか普段より痛む。横になれば少しは楽になるかと思ったがそんなことはなく、早く眠りに落ちますようにと祈った。


目が覚める。
さっきよりも悪化している。時計を見る。薬を飲んでから1時間もたっているのに効いていない。今日は薬が効かないようだとわかり、絶望する。このまま痛いままだったら自殺するしかないと本気で思った。


強い吐き気で布団を這い出し、トイレへ行くもまだ吐けない。
吐き気が強く横になっていられないのでリビングへ。自室にいた大木くんが心配して顔を出してくれ、背中をさすってくれようとしたがその振動で余計につらくなるので、残念だが
「してもらえることが何もないので気にしないでいいよ」
と伝えた。ゼイゼイと浅い呼吸をしている人間がすぐそこにいて気にしない訳にもいかないだろうが、大木くんはコップに水を注いでくれたあと、心配そうな顔をしながらもまたリビングの隣の自室に戻っていった。

もらった水で、以前病院でもらった片頭痛用の薬を飲み、ソファにかけていると今度は段々手がしびれてきた。

あれ。なんだこれ。
ビリビリする。
頭痛で手がしびれるなんて初めてで動揺してしまう。痛み自体も、今までの人生でも一番痛いと言えるほど強い。頭が割れそうとはこのことか。わたし死ぬのかな?

「大木くん、大木くん」
すぐそばの大木くんを呼ぶ。隣の和室から顔を出す大木くん。
「日曜やってる病院調べてくれない?」
もう自分では痛くてスマホを見ることもできないためそうお願いする。近所に脳神経外科があるが、日曜はやっていない。

吐き気も強くて痛みに絶望しながらしびれが強くなる手を見つめ、今日死ぬのかな、と思った。大木くんに愛してるって言った方がいいかな。まあいいか。いつも言ってるから知ってるだろう。
死を近くに感じても、不思議と未練はなかった。むしろいいときに死ねるなと思う。

隣で大木くんは必死に調べてくれている。

「新宿までいかないとなさそう」
タクシーで行くかな、と思ったその時、胃から急にせりあげてきてトイレに駆け込み盛大に吐いた。2時間前のおやつだけでなく、4時間前に食べた昼食もまだ消化されていなかったらしく、今日食べたものをあらかた全部吐いた。


と、手のしびれがすうっと軽くなった。
まだ胃はむかむかするし頭痛はおさまらないが、どうやら悪い病気ではなくいつもの頭痛のひどいやつだったらしい。

結局病院は行かないことにした。
そのあとまた布団に横になることができ、深夜になってようやく痛みはひいていった。



あとで調べて知ったが、片頭痛で手足がしびれることは普通にあるらしい。

今回わかったことは以下のとおり。

①最近、頭痛がひどくなってから薬を飲むと吐くことが増えている。
②大木くんは片頭痛の人間への接し方をいつの間にか勉強してくれていたらしい。寝室に音や灯りが届かないよう注意してくれていた。廊下を歩くときもそろそろと歩いていた。
③今死んでも、わたしはわりと後悔がないようだ。大木くんという幸せに満たされていて、かつ子供という心配ごとがないからだろう。また、残されるより先に死ぬ方がずっといいというのもある。


以上。
近いうちにとりあえず病院は行っとこう。