君の木の下

夫婦と子どもふたりの日常備忘録

やれないことは、ほとんどないのだ。大人なんだから

ここ数ヵ月の実感である。
必ずしもいい意味ではない。

最近結婚した知り合いが、毎日旦那と料理を作っている、というので、すごいね旦那さん、と言ったら

「料理くらいできるよ、大人なんだから」

と言った。
なんだか目から鱗だったけど確かにその通りだ。
ネットを見ればレシピどころか初心者向けの包丁の持ち方だって検索できる時代だ。今までやったことがなくたって、誰でもできるはずなのだ、料理なんて。


同じようなことをイタリア旅行の準備をしている頃も感じていた。
英語で現地の人とメールで交渉しながら滞在先やそこでのアクティビティを決めたり、ローカル線のチケットを取ったり。時にイタリア語でかかれたホームページを読まなくてはならなかったり。
でもできないことではないのだ。
ただ調べればいい。Google翻訳だってあるのだし。時間がかかって、気が重いだけで、難しいことではない。


言うなれば、「辞書もテキストも持ち込み可のテスト」みたいなものだ。
高校生のころ、テストで解けない問題はあっても、後で調べながらやり直して、それでも解けない問題なんてのは、めったになかった。たまに数学なんかでどんなに調べても解法が思いつかないものはあったけど。

それと同じ。


最近、仕事もそうだなと思う。
面倒なこと、気が重いこと、時間がかかることはたくさんある。
でも幸いデスクワークメインのため、メモを取る時間もないまま動き回りながら答えを出さなきゃならない、なんてことはほとんどない。つまり、できないことはほとんどない。

時間がなくても、ないなりの成果物を作れるようになっている。

人前で話すのもそれほど苦じゃない。だってできないことなんてないのだ、大人なんだから。


ひとつひとつ向き合う、それだけで大抵のことは済む。


ちょっとだけ拍子抜けでもある。
「大人」というものの種明かしをされたようだから。なんにもすごいことなんかなかった、ってね。
それから、その冒険的なことの少なさに。
こんなもんなのか、ってね。

大人になったつもりでいるけど、今のわたしは大人であるための何かが足りてないのかもしれない。